きものの保管方法について

 今日のテーマは、きものの保管方法を中心に着物の上手な扱い方をお話したいと思います。

 きものは洋服に比べ耐用年数が長く、大事に扱えばいつまでも着ることができます。きものをいつまでも美しく保つには、正しい着こなしと保管を含めた上手な扱いにあると思います。

 まず、きものを着用したら、脱いだ後、そのまま畳んでしまうのではなく、衣紋掛け、きものハンガーなどにかけ、ぬくもりを取って表面のホコリをブラシなどで払います。
 そして、表裏をよく観察し、異常がないか確かめます。たいていの場合、1度着用しただけでも、衿・袖口などは汚れているものです。異常がなければ、雨の日などは避け、空気の乾燥している日にタンスなどにしまいます。
 ここでしまい方のポイントですが、
 ・一枚毎にたとう紙や木綿布に包んでしまう。昔は、ウコン染めの木綿布が使われたりしていましたが、ウコン染めは防虫効果があったからです。
 ・ビニール袋に入れてしまうのは×。クリーニングから返ってきたらビニール袋に入っていたりしますが、通気性が著しく損なわれますので、カビの原因になったりします。よって、その場合は、ビニール袋から出してしまってください。
 ・きものによっては、刺繍や金彩加工に銀や真鍮(しんちゅう)を使用したものがあります。この場合、硫黄分を含むものと一緒にすると黒ずんでしまいます。硫黄分を含むものというと、ゴム・ウール・革があります。よって、ウールの着物や、コーリンベルトなどのゴム製品とも離して保管する必要があります。
 ・防虫剤をしようする場合は混用を避ける。2種類以上を混用すると液化してしみになったり、防虫剤の種類によっては、金彩加工を変色させたりする場合があります。きもの用と書いてあるものを使用するのが無難だと思います。
 
 タンスなどを置く場合は、家の中でも乾燥した部屋を選んで下さい。キッチンやリビング、お風呂など湿気の多い場所はNG。冷暖房を繰り返す場所は湿度が変化するのであまり好ましくありません。
 また、ファンヒーターやストーブなどの燃焼暖房のある部屋もNGです。これは、きものだけに限らず洋服でもいえることですが、石油などを燃やした際に生じる亜硫酸ガスが衣類を変色させるのです。

 あと保管方法でやはり、外せないのは虫干しです。タンスにしまいっぱなしではなく、年に1、2度は空気の乾いた日にタンスから出して風通しをしてやりましょう。ワタクシが思う一番の虫干しは、きものを着てやることだと思います。

 先日お手入れに出たきものでものすごく虫食いがあったものがあります。

  

 食欲旺盛ですね。穴が開くほど食べていらっしゃる。
 男の子ののしめ(一つ身)だったのですが、揚げをめくってみると、 

 

 キタ━━(゜∀゜)━━ッ!
 見事な巣を発見。
 この感じからしヒメカツオブシムシ君(幼虫)と断定。
 
 そのヒメカツオブシムシ君の映像はこちら。
 
 虫嫌いの方、またはそんな映像は見たくないという方は横のスクロールバーで一気に下まで送ってください。











 これ以上、下にすると虫の映像になっちゃいますよー!

 

 これ以上、上にすると虫の映像になっちゃいますよー!












 だいたい、絹やウールのきものを食べる虫は、このヒメカツオブシムシヒメマルカツオブシムシの2種類です。他にもいますがたいていこの2つのどちらかです。
 で、この虫君たちは、シミやホコリを好みます。しまう前にホコリを払い、シミがないか確認しましょうと言ったのはこのためです。虫干しをしてやると、虫の有無も確認できますし、カビの防止にもなります。どうしても面倒くさいという方は、シルクパックをお勧めします。シルクパックに関しては、こちらを参考にしてください。

 最近は、和ダンスをお持ちでない家も少なくありません。きものはやはり和ダンスに入れて保管するのが一番だと思いますが、せめて桐の箱に入れて保管してほしいものです。きりの箱といっても、ピンキリのキリじゃありませんよ。

では、また。