水害からきものを守る
平成30年7月豪雨から2か月が経ちました。
改めて、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害にあわれた方にお見舞い申し上げます。
さて、弊社はきもののお手入れを生業としております都合上、水害にあったきものや帯を目にすることがあります。
泥にまみれ、色が移り、縮んでしまったきもの。そうなってしまうと解いて、洗い張り、仕立て替えとなるのですが、泥や縮みはほぼまたはある程度取れて、着用できる状態になるのですが、色が移ったものはほぼどうにもなりません。するとしたら、染め替え、地色替え等の方法しかありません。
では、そうならない為にどうしたら良いかということですが、ガード加工(撥水加工)はどうでしょうか?
答えはNOです。ガード加工は撥水加工(水をはじく加工)であって、防水加工ではありません。よって、長時間水に浸かる状態になるとほぼ意味を成しません。
実際、今回ガード加工をされているきものがありましたが、色移りは見られました。
じゃあ、どうすればいいのかということですが、一つの答えとしては、シルクパックがいいのではないかと思います。
実物はこちら
右端の部分に余りがあるのがお分かりだと思いますが、使用する際は、この部分の端をハサミで切って頂くと、袋が再利用でき、お得です。
画像はきもの1枚しか入れておりませんが、複数枚入れることができます。
喪服セットだと、喪服・長襦袢・帯・帯揚げ・帯締め位は入ると思います。
振袖や留袖は分厚くなるので、きもの・長襦袢・帯の3点セットは入らない場合があります。その場合は、きものと帯だけ入れるというのも一つの方法だと思います。
これは、真空パックではなく、中に窒素を重点してあります。よってペチャンコのまましまうことはありません。
中に上のような酸素センサーが入っており、酸素が入っているとわかる仕組みになっております。
保証期間は2年です。
気になるお値段ですが、初回は5,000円(税別)で袋を再利用した再パックは2,500円(税別)です。
基本はお手入れした後、入れるのが前提です。
転ばぬ先の杖ということわざがありますが、災害から守るために是非検討してみてください。
では、また。
衿の変色直し
こんにちわ。お久しぶりです。
今日のテーマは、衿の変色直しです。
まずは、実物をご覧いただきましょう。
掛け衿の部分ですが、変色しています。分かる人が見たら分かると思いますが、下前の方です。上前の方は変色しておりませんでした。
洗ってしまってはいたんでしょうが、汗が残って変色したものと思われます。白い線は糸くずです。写りたがりの糸くずだったんですね(笑)。
直したのがコチラ、
ほら糸くずまで綺麗さっぱりー!冗談です(笑)。
それはさておき、本日ネットのニュースでこんなのを発見しました。
まずは実物を見てみましょう
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160915-00000003-izu-l22
Yahooニース(伊豆新聞)
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「偉人ちゃかしてる」 下田ゆるキャラに市長不快感
下田商工会議所青年部が考案したご当地キャラクター「ぺるりん」が、苦境にあえいでいる。開国の礎を築いた米国のペリー提督をモチーフにしたキャラに、福井祐輔市長が「外国の偉人をちゃかしている」と不快感を示しているためだ。ぺるりんは、市から年約150万円の補助金を受けているが、本紙の取材に対し福井市長は、将来的な補助金の削減についても「検討している」と発言。青年部は商標登録を済ませ、15日には事業者向けの説明会も予定していたが、突如日程を延期するなど影響が出始めている。
ぺるりんは昨年5月にデビューした。同市の姉妹都市である米国ニューポート市生まれのペンギンの妖精という設定。ペリーにちなんで命名されたほか、軍服姿で人前に出ることもある。
補助金は配布用クリアファイルの製作やイベントへの遠征に使われてきたが、活動の大部分は部員らが手弁当でまかなってきた。今年8月末までに県内外100回ほどのイベントに出演。担当理事を務めた高橋弘樹さんが「万人受けするデザインを目指した」という狙い通り、行く先々で多くの人に囲まれる人気者となった。
今年5月に商標登録を完了したが、6月の選挙で初当選した福井市長がぺるりんに反発。本格的な商品開発を前に、出鼻をくじかれる格好となった。商標説明会は「問題が落ち着いてからの方がいい」という判断の下、延期した。開催は未定という。
ぺるりんは黒船祭で訪れた米兵らにも人気があったが、福井市長は「相手(下田)を気遣った社交辞令のようなもの」と一蹴する。実在の人物をモデルとしたゆるキャラには「出世大名家康くん」(浜松市)などがあるが、「家康は国内の人物だが、ペリーは外国。外の人物を勝手にこのようなキャラクターにすることは外交上失礼」と主張し、立場を崩さない。青年部はぺるりん作成前、講師を招くなどして後に問題が生じないようキャラ設定含め研究を重ねたが、今回の事態については「完全に想定外だった」(高橋さん)と肩を落とす。
「表現の自由があるのでやるのは構わないが、市の公式行事には出ないでほしい」と一貫した姿勢の福井市長。青年部関係者からは「市と手を携えて下田を盛り上げていきたいと思い、作った。いっそ(キャラを)なくすことも考えた方がいいのかもしれない」という声も漏れ始めるなど、困惑の色が広がっている。
”
下田商工会議所の青年部の方も災難でしたね。単に若者が集まって勝手に作ったのではなく、一応講師を招いてキャラ設定を含め研究を重ねたとあるので、単なる思い付きではなさそうですが。。。講師がどういう人だったのでしょうね。
まぁ、決めた時と今とで市長が変わっているので、トップが変わればこうも変わるといういい例ですね。
ぺるりんが失礼なら、井原市のマスコットキャラクター「でんちゅうくん」はどうなるんでしょうね。あれは、平櫛田中作、鏡獅子をモチーフにしたゆるキャラですが、鏡獅子であって、田中(でんちゅう)さんではないですからね。しかも、君付けだし、ゆるくないし。
ぺるりんもキャラをなくすというのは、ペリーをモチーフにしたキャラをなくすということであって、ぺるりん自体をなくすのではない事を祈ります。ぺるりんがカタカナで無くてひらがななので、ペリーと切り離して考えればいいんじゃないですかね。まぁ、余計なお世話ですが。。。
最後に、第11回きもの文化検定の受験申込期限が迫って参りました。まだの方はお急ぎ下さい。9月20日(火)迄です。
受験は是非岡山で。
では、また。
紙の誤着
こんにちわ。
ご無沙汰しております。
今日のテーマは「紙の誤着」です。この言い回しが正しいのか分かりませんが、内容としては、きものを畳む際に間に紙を入れますが、それがきものに付いてしまったというものです。
まずは実際に見て頂きましょう。
こんな感じです。
金箔の部分に紙がひっついています。
原因は、金箔を付けるバインダー(のり)が変質して紙がひっついてしまったという感じです。
おそらく、ウレタン系の樹脂バインダーをしようしていて、そのウレタン樹脂が加水分解して紙をひっつけてしまったんだと思います。
カバンやハンドバッグの内側がねちゃねちゃしてひっつくあれと同じです。
こうなると洗っても取れません。
根気強く手作業で取っていくわけですが、その際、金箔も取れてしまう事があります。
少し分かりにくいかもしれませんが、下側の花弁とかのオレンジ色っぽく見えているところが金が禿げているところです。
右側の画は剥げているところがより分かりやすいと思います。
それを直したのがコチラ。
今まで、しみ抜き画像はいろいろ載せた事があったと思いますが、金彩加工はなかったと思うので載せてみました。
最後に告知ですが、今年も「きもの文化検定」があります。
今年は、11月6日(日)になります。
申し込みは9月20日(火)迄なので、まだまだ間に合います。
岡山は、岡山大学理学部で行う予定ですので、多数の受験お待ちしております。
では、また。
小紋のしみ抜き
こんにちわ。お久しぶりです。
ブログを更新するにあたっていろいろ構成を考えたりするのですが、敢えて当初考えた構成と逆のパターンで行こうと思います。
しみ抜きの例です。今回は小紋を解いて反物の状態にしたもののしみ抜きです。
まずしみ抜き前の画です。
地色が違いますが、カメラの関係で実際は同じきものの違う場所です。
左側は胸の部分で汗のしみが古くなったもの、右側は掛け衿の端っこで食べこぼしのしみが古くなったものだと思われます。
いずれもタンパクを除去した後、黄変抜きという作業になります。
ほぼほぼ綺麗になりました。
んで、ここから余談になるのですが、先日、あるお宅にお邪魔しました。本人の名誉のために誰かは伏せますが。。。
そしてそこでお茶をよばれる事になり、その前に手を洗わせて下さいと言って手を洗いに行きました。
備え付けの手拭きがマイクロファイバーの手拭きでした。以前、うちで購入して頂いたものです。
その手拭きで手を拭こうと思って見たところ、(゚◇゚;)!!!
思わず手を引っ込めてしまった。
その現物がコチラ
なぜか上下さかさまになってますが、ご容赦下さい。
これを見た時の最初の感想。んんっ???、この手拭き、洗車にでも使ったんですか???
思わず、自分のポケットからハンカチを出して拭きました。そして、洗車に使ったのか尋ねました。
すると、「見た目よりきれいなんよ〜。ちゃんと洗ってるけど、取れんのんよぉ〜」という返事が返ってきました。
これをみると綺麗にしたいという気持ちがムラムラと湧き上がってきました。
そして、預かって帰りました。
黒いものの正体。写真では伝わりにくいですが、触るとその部分は固く、ちょっとサンドペーパーを触ったようにザラザラしています。
よく分からんけど、手を拭くことだけに使っていたらしいので、手垢の蓄積だろうと思い、ドライクリーニングしてみました。
でも、全然変わりません。そこで、今度は水洗いで漬け置き洗いをしてみました。
うっかり忘れて一晩漬ける羽目に。
若干黒ずみが薄くなったような気がしますが、でも、殆ど変っておりません。
この時点でニオイをかいでみると、少し雑巾臭がします。
そうか、この黒ずみの正体はカビだな。ということで、黒カビと言えば塩素系漂白剤しかありません。
「えーっ、塩素系漂白剤って、キッチン○イターとかのブニでしょ??
そんなん使ったら、真っ白になるぢゃん」
という声が聞こえてきそうですが、黒カビを落とすにはそれしかありません。
まぁ、最悪、白くなってもいいしーってことで、やってみました。
その結果がコチラ
これもおかしな向きで申し訳ありません。いろいろやってみたのですが上手くいきません。
この辺がイラッとするとこなのですが、仕方ないですね。
まぁ、綺麗になっているのはお分かり頂けると思います。
マイクロファイバーってポリエステル繊維なので、塩素系漂白剤にも耐えれる見たいですね。勉強になりました。
持ち主に返すとたいそう喜んでおりました。
皆さんもマイクロファイバーが汚くなったら塩素系漂白剤で漂白すると綺麗になりますよ。
但し、塩素は残留しやすいので、注意が必要です。少々濯いだ位ではダメですよ。
ちなみに、このマイクロファイバーはちゃんと塩素抜きやってます。
では、また。
針供養2016
こんにちわ。
今日は、2月8日。そうです。針供養の日です。
12月8日にするところもありますが、当方では、2月8日に行っております。
以前も紹介したことはあると思いますが、和裁士会岡山県支部が昭和52年に徳与寺(岡山市中区徳吉町)に針塚を建立して以来、徳与寺で針供養を行っております(たぶん)。
最近は、以前に比べお参りの方が減っているとの事で、当方和裁士2名を連れてお参りに行きました。
本日は、そんなに寒くもなく、天気も良く、良いお参り日和でした。
マスコミの方々も多数来られ、テレビ局も確認しただけでも、OHKさん、RSKさん、RNCさん、oniビジョンさん等・・・。
oniビジョンさんの取材を受ける当方の和裁士Aのようす。
本人の許可を得ていない為小さめの画像を掲載しています。
針供養だけでなく、日ごろ道具を大切に使うと共に、一緒に仕事をしてくれる道具に感謝する気持ちを忘れないようにと、改めて思い返した一日でした。
では、また。
PS.この徳与寺では、毎年四月の第一日曜日(今年は4月3日)に「十三参り」を行っております。十三参りの過去記事はコチラ。
数え年で13歳になるお子さん、是非お参りをお願いします。
虚空蔵菩薩にお参りして智恵を授かりましょう!!!
告知
こんにちわ。
久しぶりの投稿です。本日は一言だけ。
告知です。
大したことではありませんが、ラジオの出演が決まりました。
エフエム福山の朝の番組「おはようときめきタイム」の中で10:22〜7分間の出演になるそうです。
ウェブラジオもあるそうなので、興味のある方は是非聞いて見て下さい。
こちらから↓
http://fm777.co.jp/pc/html/webradio.html
福山近郊に来られた方は是非、ラジオで。77.7MHzです。
以上、告知でした。では、また。