コートボタンのプラスチック溶出

先日、入ってきた商品で、興味深いものがありましたので、ご紹介します。

商品はコートで、依頼内容はボタンにたとう紙が張り付いたので取って欲しいとの事。

現物を見てみると、こんな感じでした。

見事にはりついてますね。拡大した図はこちら、

横から見た図、

ぺっちゃんこになってます。

こうなると、新しいボタンを作成して付け替えるしかありません。少なくともうちではそうします。でもその前に溶出して生地についたプラスチックをしみ抜きしないといけませんが・・・。

ではなぜ、このようなことになったのか?
原因は、防虫剤の混用によるボタンのプラスチック溶出だと思われます。

市販されている防虫剤には4種類のものがあります。
樟脳(しょうのう)、ナフタリン、パラジクロルベンゼン、エンペントリンですね。
このうち2種類以上のものを混ぜると、液化したり、ガスが発生したりします。

液化すると、それがきものについてシミになりますし、ガスが発生すると、上図のようなボタンのプラスチック溶出などということになります。

きものには「きもの用」の防虫剤を使用するようにして下さい。まぜるな危険!です。

ちなみに防虫剤は、きものの上に置くようにしてください。防虫剤の成分は、空気より重いですから、どちらかというと下に溜まります。

そして一番重要なのは、汚れたまましまわないということですね。きものは大抵の場合、絹だと思いますが、精錬された絹は生糸に比べて格段と虫は食べにくいという実験結果があります。ウールほど絹は虫食いには遭いにくいのです。ただし、汚れがあると話は違ってきます。虫は汚れやシミが大好きなので、汚れやシミがあるところは、たとえ化繊でも虫は食べてしまいます。

よって、タンスにしまう前には、汚れやシミを落としてからしまいましょう。

では、また。